外国語って勉強してみたいけど、なかなか続かないよ…。
多くの人が、初級から中級へ行く段階でつまづくんですね。私もそうでした!その原因と対処法を学びましょう。
今日は、語学を学ぶ人なら誰もが一度は経験する、「初級から中級への壁」の話です。
インド留学までしたのにそのレベル!?
まず、わたし自身の話をさせてください。
私は、ベンガル語の勉強を、初級まではマスターしました。どれくらいかというと、マイナー言語学習に必須の「ニューエクスプレス ベンガル語」をやり終えたくらいです。
そして、少しですが現地にも行って、ベンガル語の海に浸かってきました。それで、どれくらい話せるようになったかというと…40%くらいです。そういわれても、よくわからないですよね。語学学習に必須の四項目について、五段階評価をつけてみると、こんな感じです。
自分で書くことができる ★★★★☆
自分で話すことができる ★★☆☆☆
相手の言うことが理解できる ★★★☆☆
ベンガル語を読んで理解できる ★☆☆☆☆
総合すると、「自分で書くことは、中学生並みにできる。バングラデシュ人の話も世間話くらいなら理解できる。でも、自分で話したり、読んだりする能力は、幼稚園児レベル」。
2年間大学に行って、週5日学んで、外国にも行った結果がこれです。なんだか自分であまりにも切なくなってしまいました。自己嫌悪。精一杯、自分なりに頑張ったはずなのに、どうして?
そこで、自分には何が足りないのか考えて調べてみました。誰もがぶつかる初級から中級への壁の前に、自分は立っているということに気づきました。
誰もがぶつかる初級から中級への壁の乗り越え方
第二言語(母語【私の場合であれば日本語】以外の言語)学習において、その言語を完全に習得するというのは、とても難しいことです。
同じ時期に勉強を始め、同じ先生から学び、同じ時間勉強していても、ペラペラはなせるようになる人もいれば、全然ダメな人もいると研究で明らかになっているそうです。
そして、この差こそが、初級レベルから、中級レベル、さらには上級レベルへと移っていけるかの分け目となると思います。では、この差はどこから生まれてしまうのでしょうか。
例えば、すぐに上がるのは環境や才能でしょう。
「英語を話す人がいないから」「学校がつまらなかったから」「才能がないから」。
しかし、今すぐに自分の手で変えられる問題ではありませんよね。私も、今すぐにベンガル語を話す人々の住むバングラデシュやインドに引っ越すなんて、不可能ですから。SNSを通じて話したとしても、限界があります。また、生まれ持った「向き・不向き」というのも、言語学習の場合は悲しいかなあるようです。「私は適正がないからしょうがないや」って途中であきらめてしまうのは、ちょっともったいないですよね。
そこで、今日から、自分の手で変えられる「言語学習のステップアップ法」を、言語学的な面から調べてみました。(最近怠けがちな自分への戒めでもあります…)
1.モチベーション
第二言語学習において「もっといい仕事を得て、たくさんお金が欲しい」「よい学校に入学したい」というモチベーションと、「もっとその国の文化について知りたい」というモチベーションの二つに分類できるという考え方があります。言語学の専門用語を使うと、前者は「道具的動機付け」「道具的志向」後者は、「外発的動機づけ」「統合的志向」と呼ばれています。
例えば、「通訳になりたい」「バングラデシュの有名な大学に入りたい」など、言語を、自分の人生をよりよくするための「道具」として使う。第二外国語を学んで実益を得たい。その気持ちが「道具的動機づけ」です。日本語を学ぶベンガル人の多くが、こちらを夢見ていると思います。
一方、「この国の言葉で映画が見たい!」とか、「歌が好き」という、好きの気持ちや好奇心に動かされて言語を勉強するのが、「外発的動機づけ」。こちらのほうが、学習速度は速いという仮説もあるようです。確かに、k-pop好きな子は、韓国語をまるで母語のようなスピードで、自然に学んでいってしまいますもんね。「努力がいやにならない」という点で、このモチベーションは大切かも。
どちらの動機であれ、始めたばかりのころは、生き生きと学んでいたはずなのに…。最近息切れ気味だ…というとき。どうして、この言語をここまで学んできたのか、思い出してみるといいかもしれません。
2.性格
日本語教育を学んでいた時に、衝撃だったのが性格も言語学習のスピードに影響するということです。教科書に載っていた、5項目、はいかいいえで答えてみてください。
1.第二言語の言語能力に自信がありますか。
2.不安や失敗を恐れずに、挑戦する姿勢を保てますか。
3.異なる文化や言語を受け入れる心の広さがありますか。
4.人の話を聞いて、同じように感じられる「共感力」はありますか。
5.外向的ですか。
すべてに「はい」と答えられたら、言語学習はとんとん拍子に進むかもしれません。でも、そんな人ばかりではないはずです。自分の失敗を笑ってあげられるようになる。日本人同士の話でも、共感を意識しながら話を聞く。ちょっと勇気を振り絞って、声をかけてみる。そうしているうちに、きっと、言語学習が楽しくなるに違いありません。
こんなことを偉そうに書く私は、「はい」が二つしかありません…がんばって、自分を変えていけたらなと思います。
3.学習スタイル
もしかしたら、今の学習スタイルは、本当は自分に合ったものではないのかもしれません。言語学でよく知られた学習スタイルに、「場依存」「場独立」という考え方があります。文化圏や年齢によっても大きく変わっていくようですが、私はこの考え方、すごく面白いと思うのです。場依存と場独立の違いについてわかりやすい文献はこちらhttps://www.kikokusha-center.or.jp/resource/ronbun/kakuron/02/majima.pdf
場独立は…
・男性に多い。
・職業:科学、数学、医療関係
・他人と距離を保とうとする。個人主義的。
・分析的で、認知的である。
場依存は…
・女性に多い
・職業:教師や、営業、カウンセラーなども。
・温かく、思いやりがあり、積極的に人と交わる。
・社会的な人間関係や意味合いのある情報を覚えたり、学んだりすることが得意
場依存タイプと場独立タイプの対処法
みなさんは、どちらだったでしょうか。完璧に、どちらかによることができる人は多くないと思います。10段階評価をするならば、私は、場独立タイプ③:場依存タイプ⑦でした。しかし!場独立タイプの方が、言語学習には有利だとも書いてありました。中でも、一番上達が早いのは、「場独立タイプの女性」だそうです。
場独立タイプのあなたは…
・文法リスト・語彙リストをつくり、つぶしていきましょう。
・目標・期限を決めてやりきりましょう。
場依存タイプのあなたは…
・身の回りで、その言語を話す人を探しましょう。
・具体的なイメージやキーワードを使って、単語を覚えましょう。
・身振り手振りで覚えましょう。
・教室を探すといいかもしれません。
・学習過程で起きたことや、感情について、その言語で日記をつけましょう。
上記は、学習ストラテジーと呼ばれる、学習の仕方を勝手に分類してみた結果です。「日記をつける」というのは、「情意ストラテジー」と言って、学習上の情緒や感情をコントロールする方法だそうです。ぜひ、みなさん、今日からやりましょう!☺
おわりに
ここまでしても、言語学習が苦痛かもしれません。それなら、しばらくやめてしまってもいいと思います。新しい言語に手を出すのもありだと思います。実は・・わたしも・・明日から・・ベトナム語を・・勉強しに・・いきます・・・・。え、ベンガル語学習?やめませんよ?でも、世界は広い。与えられた時間は短い。ちょっとだけ、まったくしらない世界に飛び込んできます。ヒンディー語も、中国語も、マラーティー語も、カザフ語もかじりました。でも、やっぱり最後はベンガル語に戻ってきてしまうんです。言語学習は、時に人間そのものを変えてしまいます。ベンガル語愛を忘れずに、自分をちょっとずつメンテナンスして、ステップアップできたらいいな、と思います。
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